【ILP】体験レポート:お金の成り立ちと未来
~【ILP体験レポート】では、今期開講されたプログラムの魅力を、実際に体験した筆者がレポートしていきます!~
火曜日開講の「お金の成り立ちと未来」では、SMBC日興證券和歌山支店の横山先生と、NIKKO OPEN INNOVATION LABの磯野先生をお迎えして、お金とは何なのかという本質を考えながら、ブロックチェーンやNFTなどデジタル化していくお金の未来についてのディスカッションを全6回で行いました。
ふだんは政治経済や家庭の授業で学習してきた「お金」ですが、全6回のうち前半の部では、横山先生から「貨幣の歴史」についてレクチャーしていただきました。
物々交換から、一般的な等価物としての「貨幣」がどのように生まれてきたのか。
この根源的な問いを持ちながら、お金の来歴について知っていくなかで、受講生たちは「寛永通宝」や「ブレトンウッズ体制」といった歴史の授業で身に付けた知識と、今までとは違った角度から出会い直す時間となりました。
後半ではその知識をもとに、未来のお金のあり方について、磯野先生とのディスカッション形式で考えを深めていきます。
「お金でしかできないことは何か?」という磯野先生の問いかけから始まった後半の部。
「お金があってもできないことは何か?」という問いに、受講生たちは議論の末、「コミュニティを作ること」という意見で応答します。
ですがここから、磯野先生の問いかけは、予想だにしなかった方向へと展開していきます。
「じゃあ、コミュニティが形成される条件は何だと思う?」
「家族というものはどんな特徴によって定義されるのだろう?」
「リアルのコミュニティと、インターネット上のコミュニティとのちがいは何だと思う?」
「家族」や「コミュニティ」というものはとても身近でありながら、これまで考えたこともなかったような問いの連続に、受講生たちはとても刺激を受けた様子。
「お金」についての講座だったはずが、これらを通して気づくことになったのは、「お金」と「コミュニティ」との密接なつながりでした。
真剣に考え、議論していると、あっという間に1時間半ほどが経過してしまいます。
ここまでの議論を総括するように、最後に磯野先生から「中央集権型コミュニティ」と「分散型コミュニティ」という二つの共同体のモデルが紹介されました。
前者は従来の社会がもっていた共同体のかたちで、ハブとなる「中心」がそれぞれの個人と結びつくことで集団を維持するモデル(国や自治体などがそうですね)。
後者はその「中心」をもたず、各メンバー同士がダイレクトに交流している共同体のかたちです。
これまで、後者のモデルは結びつきの数が極めて膨大かつ複雑になるため、社会制度としては実現されることがありませんでした(1000万人の意見を代表者なしでまとめる難しさを想像してみてください)。しかし「ブロックチェーン」などの技術によって、私たちは無数の交流をネットワーク上で行い、そのすべてのつながりを、人類は記録していくことができる。そして、記録されたつながりは、「ビットコイン」などの新たな貨幣を通じて、別の仕方での経済活動を開始させていく……。
私たちの未来は今後、どのように変わっていくのでしょうか。
リアルとネット、2つのコミュニティが重なり合った社会を現に生きている受講生たちにとって、この講座は、そんな未来と現在を見つめ直すきっかけとなったようでした。
──ILPでは、見たことも聞いたことも、考えたこともなかったような問いに出会えます。
3学期も皆さんの好奇心を刺激するプログラムが複数開講されるので、ご参加をお待ちしています!